美容や健康に良い酒粕は、日本酒を作る工程で生まれる副産物です。
日本酒は原料の米を麹菌によって発酵させて醸造して作りますが、
その過程で「もろみ」という物質が出来ます。
もろみを絞った液体は日本酒になり、
残った搾り粕が酒粕になります。
酒粕を原料とする飲み物に甘酒があります。
日本では甘酒以外にも、
漬物に使われたり、
野菜や魚を粕漬けにするなど
普段の食生活に取り入れられてきました。

近年では日本酒の売り上げが下降線をたどり、
酒粕が食卓に上ることも減少していましたが、
和食ブームが世界に広まったことで
日本酒の価値が見直されてきています。

酒粕も栄養価が高いことから
健康食材として注目されるようになりました。

酒粕から作られる甘酒は、
飲む点滴と呼ばれるほど栄養満点の飲み物です。

酒粕にはタンパク質やビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、パントテン酸、葉酸、食物繊維、亜鉛、カリウム、ナトリウム、リン、カルシウム、マグネシウム、鉄、銅といった
様々な栄養素が含まれています。

中でもタンパク質は人の体を作るのに欠かせない三大栄養素の1つで、
筋肉や骨、髪の毛などの元になっている栄養素とされています。

酒粕に含まれるタンパク質は、
レジスタントプロテインと呼ばれる
胃腸で消化されにくい性質を持っているタンパク質です。

レジスタントプロテインには
脂肪を吸着しやすい性質もあるので、
摂り過ぎてしまった余分な油分を体の外に排出してくれます。

つまりレジスタントプロテインは、
タンパク質でありながら食物繊維のような役割も果たしてくれるのです。

酒粕には食物繊維も含まれていますから、
相乗効果を発揮して腸内環境を整えてくれます。

それにより便秘を解消する効果も期待できます。

また、悪玉コレステロールを減らす働きもあるので
高血圧や動脈硬化の予防にも役立ちます。

それから酒粕には、インスリンに良く似た物質やが含まれていることが研究によって明らかになりました。
インスリンはすい臓で分泌されているホルモンで、
すい臓の働きが低下するときちんと分泌されなくなってしまいます。

インスリンの分泌量が減ると、
体内のブドウ糖が脂肪細胞に吸収されずに尿として排出される糖尿病になります。

人の体内では、
脂肪を分解する作用のあるインスリンとは
逆の働きをするホルモンも分泌されています。

インスリンの分泌量が減るとこちらのホルモンが活発に働くのですが、
酒粕に含まれるインスリンに似た物質は
このホルモンの働きを抑えてくれます。

そのため酒粕は、
糖尿病を予防する効果があるとして注目されています。

また、酒粕には消化酵素である
α-アミラーゼの働きを抑制する物質も含まれています。

ご飯や麺類などの炭水化物を食べるとでんぷんになり、
消化酵素α‐アミラーゼの働きによってブドウ糖へと変化します。

α‐アミラーゼの働きが阻害されることで、
血液中のブドウ糖がコントロールされるので
糖尿病予防や肥満予防に繋がるのです。

酒粕は糖尿病だけではなく、
ガン予防に良い食材としても注目されています。

これは酒粕にαーハイドロオキシ酸という物質が含まれているからです。

αーハイドロオキシ酸は、
体内のリンパ球の働きを活性化してくれます。

リンパ球にはがん細胞に対抗する働きがあるため、
酒粕はガン予防に効果的です。

酒粕はアレルギー体質を改善する効果もあると言われています。

アレルギー性疾患の1つに花粉症がありますが、
日本人の国民病とも言われてる花粉症に悩まされている人は少なくありません。

最近では、子供の頃に発症してしまうケースも目立っています。
それからアレルギー性疾患には、
アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎などもあります。

これらのアレルギー反応は、
カテプシンBと呼ばれる酵素によって作られている
免疫グロブリンが原因で引き起こされると考えられています。

酒粕に含まれるペプチド物質には
カテプシンBの働きを阻害する作用があるため、
アレルギー症状を抑えることができるのです。

酒粕は、健康だけではなく美容に良い効果もあります。

酒粕にはアルブチンやコウジ酸、フェルラ酸といった
栄養素が豊富に含まれています。

天然のフェノール性配糖体のアルブチンは、肌の漂白剤といわれるほど美白効果がありハイドロキノンの誘導体です。

ハイドロキノンとグルコースとをα結合させたハイドロキノン誘導体は、肝斑やシミの予防効果に期待できます

紫外線を受けると人の肌は、紫外線から肌を守るためメラニン色素を生成することになります。

生成されたメラニン色素の量が少なければ自然に排出されますが、
過剰に作られてしまった場合にはシミとして肌に沈着してしまいます。

アルブチンにはメラニン色素の蓄積を防ぐ働きがあり、
肌を美白に導いてくれます。

コウジ酸にもメラニン色素の沈着を防ぐ作用がありますが、
シワを防ぐ抗糖化作用も持っています。

炎症作用や保湿作用もあるので、
ニキビなどの肌トラブルを防いだりニキビ痕が沈着するのを防ぐ効果が期待できます。

フェルラ酸はアンチエイジング効果が高い成分として知られており、
メラニン色素の生成に関わるチロシナーゼの働きを抑制してくれます。

美白効果も持ち合わせており、
これらの成分の相乗効果によってシミやシワを予防することができます。

食べ物として利用するだけではなく、
酒粕パックなどスキンケアアイテムとして用いられることもあります。

また、酒粕には保湿効果の高い成分も色々含まれています。
スフィンゴ脂質やアミノ酸、核酸などです。

スフィンゴ脂質の中には、
天然の保湿成分と言われているセラミドがあります。

セラミドは細胞と細胞の間を埋める存在で、
潤いを保つには欠かせない物質です。

アミノ酸や核酸も肌細胞には欠かせない物質で、

細胞が正常に作られることによって新陳代謝(ターンオーバー)を促進することができます。

新陳代謝が鈍くなってしまうと、
古い肌細胞が肌に残ってしまい毛穴づまりを起こし、

ニキビや吹き出物などの肌トラブルを招いてしまうこともあります。

まだ未熟な肌細胞が表面に出てしまって肌のバリア機能が低下し、

肌が乾燥しやすくなったり紫外線などのダメージを受けやすくなることもあります。

アミノ酸や核酸を摂取することで肌細胞がきちんと作られ、
保水力のある肌を作るサポートになります。

このように酒粕には様々な効能が期待できるので、
普段から食事の際などに取り入れていきたいものです。

酒粕を使った代表的な飲み物は甘酒ですが、

甘酒には酒粕を使用していないものもあるので
スーパーなどで購入する際には注意が必要です。

甘酒は自宅でも米麹から作ることができるので、
手作りの甘酒にチャレンジしてみてもいいかもしれません。

それから酒粕は、調味料としても幅広い料理に利用することができます。

酒粕にはアミノ酸が沢山含まれているので、
旨味の元が凝縮しています。

スムージーなどのドリンクにしてもいいですし、
ドレッシングなどに加えるのもおすすめです。

発酵食品なので、
同じ発酵食品であるチーズとの相性も良いので
洋風の料理にも使用することができます。

肉や魚、野菜などを粕漬けにしたりもできます。

酒粕の風味が楽しめる鍋や粕汁なども人気があります。

ただし、酒粕を料理に使用する際には、
加熱しすぎないことが重要になります。

酒粕には酵素が100種類以上も含まれていますが、
酵素は熱に弱いものが多いからです。

加熱しすぎると、せっかくの酵素が変性してしまうので
生の状態で摂取するのが理想とされています。

加熱する時でも加熱時間を短くするなどの工夫が必要になります。